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尖り過ぎて、ケガしそうな介護看護ITメディア

OriHime

今回は、とある訪問介護系企業の方から、面白いと紹介された本について、掻い摘んで感じたことを書いてみます!

 

本のタイトルは

『「孤独」は消せる。』吉藤 健太朗 著

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OriHime

内容は、orihimeという人型の小さなロボットの開発者である吉藤さんが、その開発背景や思いをまとめています。

彼の幼少期からの孤独感や疎外感、周囲の人間からの影響と、自身の変化や成長など包み隠さず記されている本です。

 

詳細は読んでいただくということで、

ここでは私の主観で、面白いと感じた点をいくつか挙げてみます。

 

 

分身ロボットという発想

orihimeは持ち歩き可能サイズの人型ロボットです。ただし、ペッ〇ー君のような機械が話すロボットではありません。ロボットの向こう側に本物の人がいます。

わかりやすい用途として挙がっていたのが、病室で寝たきりの子供の代わりに、家族がorihimeと一緒にテレビが見る。orihimeのカメラとスピーカーを通して、病室にいる子供は、まるで家族とテレビを見ているかのように、会話しながら、時間を共有することが出来る。子供は翌日医者に対して、「昨日は家族とこんなテレビを見たよ!」と楽しそうに話す。テレビに限らず、家族がorihimeを旅行に連れて行けば、同じようにその場の雰囲気を体験できる。

 

人を持ち歩く(持ち歩いてもらう)という発想

 

AIを利用して人間と同レベルの会話や感覚をロボットに持たせることが、大きなテーマの1つとなりつつある時代で、そもそも人間を移動させるための分身ロボットという視点が面白いです。

このような目的なので、ロボットに対して求めるのは、高度な人工知能ではなく、向こう側にいる人間がどれだけ現場にいるように感じられるかであったりと、一般的なロボット開発とは異なる角度から切り込んでいます。

 

 

わくわくすることの為に行動している。

著者の吉藤さんは、幼少期から、わくわくできないことには集中できないと悩まれていたそうです。

そこから、紆余曲折あり、わくわくできることに、ずば抜けて集中する方が結果として高い効果がでるかもしれないと考えています。

私も強く共感するところがありますし、恐らく大抵の方もそうではないかと思います。面白いポイントは時間をかけることが苦ではないが、つまらなく意味を感じられない行為は、どうもやる気がでない。あとは、どこまで、割り切ってつまらないけどやらなくてはいけない行為を切っていけるかの意思決定だと、自戒も含めて読みました。

 

可能性の拡大、どこでも働けること

 orihimeを通して、人間の可能性に生じる限界を外してしまいたいというメッセージを感じる節が本の中に複数ありました。

このような具体的な話が記されていました。

 

4歳の時の事故による頸椎損傷で首から下の感覚が完全にない番田さんという男性がいます。しかし、外の世界とつながりたいという欲求を色々な形で表現していましたが、物理的に動作が出来ないことでの限界がありました。

番田さんは、たまたま吉藤さんについての情報を読み、すぐにfacebookで連絡しました。二人は出合い、orihimeを利用して、日々のコミュニケーションをとりながら、吉藤さんの講演にもorihimeを介して出演するようになります。その後、講演の回数も増え、番田さんの出演数も増えるとともに、2人のスケジュール管理が大変になったため、番田さんが、吉藤さんのスケジュール管理も含めて管理するようになりました。今では、番田さんは正社員として雇用され、吉藤さんの秘書として常に行動を共にするべく、毎日orihimeを介して、盛岡の病院から出社されるそうです。

働き方改革の号令で、様々企業がリモートワーク、フレックスタイムなど多くの取り組みで対応しようとしています。しかし番田さんの行動力や吉藤さんの、「それって限界は自分で作っているだけだから、取り払える努力しようよ」みたいなスタンスが、大事なように思います。

ほかにもALS(筋萎縮性側索硬化症)の方が利用している話などが、記されています。

 

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ここには貼っていませんが、ググれば高齢者の方や、利用されてる方との写真が出てきます。





 

 

orihimeの開発スタイル

 

最後に、同じ開発している人間として、吉藤さんの開発スタイルには共感する点があったので以下引用します。

・ユーザーの声を聴くのではなく、反応を見る

私のものづくり研究は、徹底的に現場主義だ。研究室や会社にひきこもって、どんなに いいと思えるものをつくっても、実際に使ってもらうと望まれないものだっ たり、 逆 に、些細なことと思っていた改良がものすごく喜ばれたりするものだ。番田も、Yさん も ユーザー であり、一緒に改良していく協力者になってくれたことが大きい。

 

  課題を見つけ、私がアイデアを出し、つくったものを使ってもらうことで実際に使えるのか判断し、使えるならそれを改良するを繰り返していくのだ。よく「 ユーザー の 声を聞け」というものがあるが、私は聞くことよりも反応を観察することが重要だと考えている。結局のところ、実は ユーザー 自身 も、自分が最もほしいものを知っているわけではないのだ。そこで私がアイデアを考えたり、プロトタイプを使ってもらったり する中で「 ああ! これがほしかったんだ!」 と気づくのであり、私もその 反応 によって、このアイデアが優れているかどうかに気づくことができる。

吉藤 健太朗. 「孤独」は消せる。 (Kindle の位置No.2054-2060). サンマーク出版. Kindle 版.

 

介護や看護の世界にも、介助用やリハビリ用ロボットなどは増えています。しかし、利用者さんや患者さんが、一般社会で生活できる為の新しい発想のロボットはあまり多くないと感じているます。面白いエッセンス気付きがあったので、共有すべき情報かと思い、記事にしてみました。

 

今回は本について、つらつら書いてみましたが、今後本で学んだことも共有していきたいと思います!